ふたりのガーディアン
次の日、私は昨日のバイトのことをみんなに話した。


「へぇ。その社長さんってオネエだったんだ」


蒼甫君が私の席の前の椅子に、後ろ向きに両足を広げて座っている。


蒼甫君は、これがお決まりのスタイルだったりする。


「うん。最初はビックリしたんだけど、すごく良い人でね」


「なんだか、そのバイト楽しそうだね」


さっちゃんが安心したように言った。


「見た目は普通の男の人なのに、話し始めると変わるの」


「年齢は?何歳くらい?」


私の左の席に座ってる瀬名君が口を開く。


「んー。年齢はナイショって言われたけど、30代前半とか、そんな感じがしたかな」


「タレント事務所ねー。面白いところを紹介されたもんだな」


瀬名君は、教室の後ろで渋谷君と仲良く話している静華ちゃんに目をやった。


「顔が広いっていうのは、ホントだったんだね」


斉藤君も、静華ちゃんの方をチラリと見ている。


「ま、とにかく良かったじゃん。
向こうは安くアシスタントを雇えるわけだし、優月は優月で、自分の都合に合わせて仕事が出来るわけだしさ」


にっこり笑う蒼甫君に、私はうんと頷いた。


イチャさんは安い時給でごめんねって言ってたけど、高校生の私にとってはこれで充分だと思った。
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