ふたりのガーディアン
「ひとりでどうしたの?休憩中?」


「えっ?あ、うん」


渋谷君、本当に女の子みたい。


間近で見ても可愛いもん。


「渋谷君、着替えるの?」


カツラを外し、エプロンを脱ぎ始める渋谷君。


「そうなんだよ。俺ね、そろそろ体育館へ行かないといけないんだ。
あっちで着替えてくるね」


そう言って渋谷君はメイク室に入って行った。


そっか。


渋谷君は生徒会役員としての仕事があるんだもんね。


いつまでもここでメイドになってるわけにはいかないよね。


しばらくすると、制服に着替えた渋谷君が出て来た。


「竹内、このメイクどうしたらいい?」


渋谷君はメイクをしたままだ。


男子の制服にこのメイクは、さすがにちょっと厳しいかも。


「このふき取り使って。
あっ、つけまつ毛はゆっくり引っ張って外してね」


「ひゃー、瞼が引っ張られるー。まつ毛が抜けそうだよ。女子はすごいね」


渋谷君はそう言って、拭き取りでメイクを落とし始めた。


だんだんいつもの渋谷君に戻っていく。


「はー。これくらいでいいかな?」


「うん、大丈夫。落とせてるよ」


「ありがとう、竹内。じゃあ俺、行くね」


そう言って渋谷君は体育館へ向かった。
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