ふたりのガーディアン
「優月。どうした?」


そう言って私の顔を覗き込む瀬名君。


瀬名君の影で、目の前に見えていた太陽が隠された。


「うん。なんかね。今が幸せ過ぎて。

ずっとここにいたいと思っちゃって」


「今って、この今?」


「うん。二人がそばにいてくれるから、すごく幸せなの。
このまま時が止まればいいのにって思う」


あぁ…と言って、また仰向けになる瀬名君。


「そか。そうだな。

それはちょっと俺も思う」


瀬名君が目を閉じる。


「確かにそうだな。この居心地の良さは確かに捨てがたい」


はぁと息を吐く蒼甫君。


今、この瞬間を捕まえられたらいいのに。


ずっと、そこにいられたらいいのに。


だけど今と認識した途端、それは過去になって、二度と戻らない時間となる。


それがせつなくて、なんだか泣きそうになった。


蒼甫君が私の手を握る。


ほどなくして、瀬名君も私の手を握った。


恋人とか、友達とか。


この時の私達は、そんなものは超えていて。


ただ、こうしたくて手を繋いだ。


ずっと、繋がっていられたらいいのに。


暖かい陽射しの中、柔らかい砂を背に、私達は海の風を全身で感じていた。


優しい波の音を聴きながら、これが永遠でありますようにと、叶わぬ夢を願った。
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