ふたりのガーディアン
私達はデパートの最上階へと向かい、景色が一望出来る窓際の椅子に二人で腰掛けた。


「ここの景色も久しぶりだな」


「ホントだね」


今日は天気が良いから、景色がはっきりと見える。


「神崎すげーな。今、映画撮ってんだろ?」


「あ、うん。明後日こっちに戻って来るよ」


「重光監督の作品に出られるなんて、役者冥利につきるよな。

なんか、アイツにどんどん追い越されてる気がするよ」


そう言って洋平君は、身体をぐっと仰け反った。


「でも、彼女からしたら大変だろうな」


「えっ?」


「アイツが売れて、何かと大変だったんじゃないのか?」


そう言って、洋平君が私の顔を覗き込む。


「そんなことないよ」


そんなことは、ない。


そう思いたい自分がいた。
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