ふたりのガーディアン
休憩時間になると、当たり前のように蒼甫君が1組にやって来た。


いつものように私の席の前に腰掛ける蒼甫君。


私の席の前は、男子なんだけど。


その人は休憩時間のたびに、席を空けておいてくれる。


蒼甫君のために空けてくれているのか、それはよくわからないけれど。


「どうした?なんかあんまり元気そうじゃないね」


「あーうん。あんまり眠れなかったの」


「どうして?」


そう言って蒼甫君が、私の顔をじっと覗き込む。


澄んだ綺麗な瞳。


この人に、隠し事なんてしていいんだろうか。


抱きしめられた事は言えないにしても、薫さんのことは伝えておいた方がいいんじゃないだろうか。


「あのね…、蒼甫君。

ちょっと話を聞いてくれる?」


私の言葉に、蒼甫君が目をぱちくりさせる。


「なに?あらためて。もちろん、いいけど」


私は深く深呼吸をした。


「薫さんのことなの…」
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