ふたりのガーディアン
すっかり日の傾いた街の中を、瀬名君と並んで歩く。


車が通るたび、冷たい風が全身に当たる。


しばらく歩いていると、瀬名君が私の手を取った。


手を繋いで、黙って歩き続ける私達。


駅に到着すると、瀬名君が私の顔を見た。


「優月…」


「ん?」


「ありがとう。

俺、やっと解放された…。

本当にありがとう」


そう言って微笑む瀬名君の顔は、綺麗に晴れ渡った空のように、すごくスッキリしていた。


やっと。


やっとその重荷を降ろすことが出来たんだね。


「すごいな、優月は。

俺、本気でビックリしたよ。

あんなふうに人を説得出来るなんて。

優月、変わったね」


そう言われて、ちょっと顔が緩んでしまう。


「私ね、ずっと瀬名君を守りたかったの…」


「え…?」


「ずっと私を支えてくれてたでしょう?

だから、私も力になりたかったの…」


もう無理かと思っていたけれど、勇気を出して本当に良かった。


「ホントにありがとな」


そう言って瀬名君は、優しく私の頭を撫でてくれた。
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