シュシュ
「ええ、もちろんですよ。

お見合いはお断りしたのに、なぜ会いたいと思ったのか、

それがとても気になってましてね」


そう言って、水野さんは微笑んだ。


「では・・・。

水野さんは、私が西条株式会社に入社する前から、

そこで働いていますよね?でも、そこで働く理由が、

私が就職するからと言う、先の事もわからないのに、

そんな理由がありますか?」


「先は最初から知ってたんですよ」


「・・・え?」


目を丸くする私に、相変わらず営業スマイルのままの水野さん。


「薫子さんが、西条しか就職できないように、裏で手を回してましたからね。

脅迫が出来ちゃうほど、水野の会社は大きかった、というわけです」


水野さんの言葉に、絶句した。

なぜ、そこまでして私を西条に入れようとしたのか?


「わざわざ西条でなくても、水野に就職できるように、

出来たんじゃありませんか?」

絶句する私の横で、龍之介が静かに言った。


「まぁ、それが一番手っ取り早かったんですがね?

どうしても一泡吹かせたい男がいまして」


「「一泡吹かせたい男?」」

龍之介とお母様の声が重なった。
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