和田菜月物語
それと同時に前田はあの建物に行った。

「落とし前をつけないとな…」

その中は暗く薄気味悪い感じだった。
そして前田は最上階に向かった。

ドアを開けると…。

「小太郎…?」

「久しぶりだな」

そして悲しい笑顔でこう言った。

『母さん』

「何で小太郎がここに…?」

「そんな事気にした無いくせに…」

「えっ?」

「あんたは自分の権力しか気にしてないだろ!!」

「小太郎…。お願い話を聞い…」

「あんたのせいで俺は!俺はな!!」

そう言って近くにあったナイフで前田は走って女の人に飛びついた。
女の人はおなかにあるナイフを見た。

だが痛くない。
なぜならナイフの刃は前田に向かっているから。

「小太郎…?」

「俺は…」

前田は泣きながら言った。

「俺はあんたを殺したいぐらい憎んでる…。けど…。けど!!殺せば俺は一人だ!そんなの嫌だ…。それが一番嫌だ…。だから…」

そして前田は誰も見た事も無い顔でこう言った。

『俺を一人にしないでくれよ…』

「小太郎…」

女の人は無言で小太郎に抱きついた。
そして前田は泣いた。

大声で泣いた。


その建物の前で由紀は悲しい笑みを浮かべていた。
そしてホテルに向かった。

この事がきっかけに由紀はある計画を立てたんだ。
そう思うんだ…。
今思うと…。
< 162 / 261 >

この作品をシェア

pagetop