和田菜月物語
「うん…」

飛鳥はだいぶ落ち着いていた。
徐々に普通に話せている。

「未来と付き合ったんだ…」

「うん…。ウチもビックリした…」

しょうがないよね…。
雅木はそう言う奴だもん。

そう言いたかった…。
でも無理だった…。

だって雅木はそんな女子好きとかじゃない。
本当に一途だった…。

だから何か理由があるんだと思う。
そう信じたかった。

「ウチは…。飯沼の眼中にも居らんかったんかな…?」

「そんな事ない!!」

私は声を上げてしまった。

「菜月…」

「確かに雅木は未来に告白した。見てはないけどそうなんでしょ?だからって、自分にネガティブになったらダメ!!雅木も何か理由があるんだと思うよ?」

「そうかもしれんけど…。けど!!飯沼はウチの気持ちに気付かんかった訳やろ?じゃあ元から意味無いじゃ…」

『雅木は元々飛鳥が好きだったんだよ!!』

私はついに話してしまった…。
記憶が戻った時に聞いてしまった事。
雅木はその時『俺の気持ちは変わらねぇ』的な事を言っていたが…。

それは言わなかった。
言ったらダメな気がして…。

「とにかく!!自信を持て!!」

私はそう言って部屋に戻った。

飛鳥は少し笑いながらこう言った。

『自分だって自信持ちなさいよ…』



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