和田菜月物語
ウチは退院できた。
だけど雅木は記憶障害の疑いがあるからまだ退院できない。

その夜はウチと畑山だけでパーティーをした。

畑山と雅木とは何時まで家に居ても怒られない。
なぜなら親同士も仲良い。
だから信頼し合っている。
その影響だろう。

「中井って雅木の事好きだろう?」

いきなり畑山に言われたから
ウチはびっくりしてむせてしまった。

「いきなり何言ってんの…!?」

何故か畑山はすました顔で

「図星だったのか…」

と、言った。

「もういいです!」

ウチが言うと畑山は悲しそうに

「やっぱりお前も雅木なんだな…」

ウチはその顔の意味は分からなかった。

「中井、俺もう言うけどいいか?」

ウチは小さくうなずいた。

「じゃあ言うな。俺はお前の事…」

畑山が何か言おうとしたら

 [プルルルル]

家の電話が鳴った。

ウチがオドオドしていると畑山が

「出たらいいじゃん」

ウチはそれを聞いて急いで電話に出た。

「もしもし」

相手は雅木のお母さんだった。

【飛鳥ちゃん?】

少し興奮しているようだった。

「そうだけど…どうかしたの?」

【落ち着いて聴いてね。雅木が退院したらね引っ越す事になったの】

これがウチと雅木の関わりを終わらせる最大の言葉だった。

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