和田菜月物語

気持ち

私と未来は目をうるうるしていた。
それを見た飛鳥は

「何で泣きそうになってんだよ…」

「だって飛鳥ちゃん…」
「そんな事あったなんて…」

私と未来は同じ気持ちだと思う。
きっと飛鳥も分かっていたと思う。

「でも、しょうがない運命なんだよ。ウチと雅木はもうこうなる運命だったんだよ…」

その時の飛鳥の顔は少し悲しそうだったので私はある事を考えた。

「じゃあ雅木の事がまだ好きだって事?」

そう言うと飛鳥は私を見て

「それは無いぞ!」

完全否定な飛鳥。
私は未来をおそるおそる見た。
だが未来の顔はすましていた。

「未来…?」

私が未来の顔を覗き込むと

「私思ったんだ…。飯沼君って誰からも好かれる人だって。だから、モテテもしょうがない。自分がやってきた事がバカらしく思えてきたの。飯沼君が好きになった人は、今までの誰よりもいい人なんだって飯沼君が思った人…。自分は叶わない夢に腹が立っていたんだって…。だから菜月に強く当たっちゃってた…」

未来の顔は何か謝りたいような顔をしていた。
でも、私はその顔がどうしても美しく見えた。

すると飛鳥が

「まぁ、そう言う事だ。だから雅木と話しにくいって事。別に嫌いじゃないからな!」

すこし顔の赤い飛鳥を見て私と未来は笑った。

この幸せが続くと思ってた。
だけど現実は残酷で悲しかった。

私達は教室に戻った。

そして自分たちの目を疑った。

「えっ…?」

黒板に大きく書かれてある文字。

『和田菜月は飯沼雅木とできちゃってる』

その文字の隣には相合傘などの絵が書いてあった。

これをキッカケにいろんなものが壊れていった。

みんなも未来も飛鳥も雅木も亮磨も…。
そして私も…。

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