王子様たちのひまつぶしっ!?
そんな無言の沈黙を、最初に破ったのは葵ちゃんだった。

「あっそういえば、かっ、彼女さん、行っちゃいましたよ?」

まだ心無しか、頬がピンクく染まっている。

平然を装おってるけど全然だめ。噛みかみじゃん。

彼女ー…?

「別に。彼女じゃないよ?」

そうだー…。

別に彼女じゃない。

気づいたら葵ちゃんが、俺をじっと見つめていた。

あぁ、“軽蔑”…かな?

だって彼女じゃなくたってそういうことはするじゃん。

男も女も。

海斗の母親もそうだった。
何がいけないの?

「何でそんなことするの?」

葵ちゃんは少しうつむき加減で口を開いた。

説教?

はぁー…

“女の子たちがかわいそうでしょ”って?

聞きあきたなー…もう。

「どうして自分を傷つけるようなこと、するんですかっ!?」

「え?」

「体だけの関係なんて、悲しいだけです!俊君も、辛いでしょう?」

「そういうことは、好きな人とだけしましょう?俊君だけを見てくれる、そんな女の子にいつか出会えるはずですっっ!」

「ねっ」と小さく微笑む葵ちゃん。

好きな人とだけー…?

ふーん。

「ねぇ、じゃあ君はー…?」

「えー…?」
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