パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
重く、息をするのさえ苦しいような空気が二人を覆う。
何か言えば、相手の心を傷つけてしまう。
傷つけたくたくはないのに、傷つけたくてたまらない。
奈桜の心は散り散りバラバラ。
梓の事を頭では理解している。
それが仕事なんだから認めてあげるべきで。
どうせ行くんだから気持ちよく行かせてあげるべきで。


「しばらく帰って来ない。……赤ちゃんも向こうで産むと思う。奈桜には迷惑かけない」


「向こうでって?ちょっと待って。オレには迷惑かけないってなんだよ?オレと梓は夫婦だろ?その言い方はなんだよ」


「だから。奈桜には迷惑かけないって!」


「なんで向こうで産むんだよ!」


「国籍だってアメリカの国籍も取れるじゃない。選べるじゃない」


「オレは日本人だ。日本人で十分だ。オレの子は日本人だ。アメリカの国籍なんてどうでもいい!」


興奮すると話の論点がおかしな方へ動く事も………ある。
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