パパはアイドル♪vol.3~奈桜クンの呟き~
「普通にさ、休みの日に手を繋いでデートして」


「うん」


奏の話を頷いて聞く。
出来るだけ、話しをさせたい。
言って楽になる事もある。


「お洒落なカフェでお茶して。時間も人目も気にせず、ずっと二人で……」


「うん」


「隠れたりしないで……」


「うん」


「こそこそしないで……」


「うん」


「みんなに自慢して……祝福されて……」


「うん」


「誰にも言えないって。祝福されないって。日本中の女の子を敵に回すって」


何も言えない。
アイドルの彼女。
付き合ってみて始めて分かる苦悩。
『夢みたい……』だけでは済まなくなる現実。
< 191 / 222 >

この作品をシェア

pagetop