星空の四重奏【完】

ギルシード′s *Solo*




なんか、本部内が妙な空気だぜ。換気してっか換気。いくら外が寒いからっつって籠らせるのは良くないぜ。ウイルス性の病気が蔓延すっぞ。

……って、そっちの空気じゃねーし。気だよ気!気配だバカ。勘違いすんな。

あ?俺じゃねーよおまえらだ。俺はバカじゃねぇ。ズル賢いんだ。



胸くそ悪かったあの日から1日経ったぜ。

何がって……マーズに決まってんだろ?俺の身体を乗っ取られたんだ!あんときの記憶はまあまあ残ってるのが幸いだな。思考ごと乗っ取られたら趣味が悪いぜ。



ロイ?ロイは東奔西走してるぜ。あっち行ってこっち行って。ご苦労なこったぜ。

慣れないことはすることじゃありませんねってぼやいてたなさっき。目の下隈できてるしよ。幹事は大変だな。

シーナは施設とコンタクト取ってるぜ。協力を要請するらしい。とすると、デュークとキリトも参戦することになるな。あいつらは絶対に死なねぇよ。俺が保証する。



んで、俺が今何やってるかって?ダガーの手入れだ。研いで磨いて拭いて。切れ味抜群にしねーとな。

……なんだ?手先が器用だってか?当たり前じゃねーか。アホ。俺は盗賊だったんだ。こんぐらい朝飯前だ。


……バカ野郎、釘を指すんじゃねー。今はお昼ご飯の前ですよって知ってら、んなこと。丁度俺の腹も鳴っちまったぜ。昼何食うかなー。肉にするか魚にするか。

あ?話題を逸らすなって?そもそも何の話してたかわかんねー内容じゃねーか。


ああ、手先が器用だって話か。しっかしおまえも物好きだな。俺のことが知りたいのか?こんな俺のこと知ったって得することは何もねーぞ?

あ?フェアだって?レンもシーナもロイも過去が明かされつつあるのにギルシードだけ少しも出てないだぁ?



おいおいおい冗談だろ?俺の過去を明かしたところで誰が嬉しいんだ?俺はちっとも嬉しかねーぞ?



……おいおいおい、それこそ冗談だろ?金でつるってか?なんだその手のひらに乗ってる金は。ひいふうみ……ってしまったー!俺は何やってんだー!

受け取っちまったじゃねーか!俺は高い男なのか?安い男なのか?どっちなんだ?

……然り気無く貶しただろおまえ。俺にはちゃんと聞こえたぞ?安いっつったろ今!心の中で言っただろ!第一、顔にそう書いてあるのが見えるぜ!



くそーっ!癪に触るが教えてやる。俺の過去だろ?盗賊になる前の話だろ?

……しまった乗っちまった。言いたくないとこまで言わねーといけなくなっちまった。墓穴掘ったー。盗賊時代の話だけでもよかったじゃねーかよ俺……



わーったよ。言うから。だからそんな満面の笑みを浮かべるなって。しかもなんだそのどや顔。気色悪。今すぐやめろ。



つーことで、話しまーす。



< 97 / 122 >

この作品をシェア

pagetop