書くの神


彼らの嗅覚を侮るなかれ。

なにも考えていないようで、この瞬間も、なにが1番カッコよく見えるのか、鼻をクンクンさせている。

いくら私が、説教を隠し味にしたとしても、必ず見破られる。

事実、私の数ある作品で、読者数が飛び抜けているのは、アイドルを題材にしたもの。

文字を削って、描写を削って、思いを削って。

これでもまだ、夢が臭いのかもしれない。

私はとうの昔に、自らの夢は諦めた。

その代わり。

手に入れたものは、とてつもなく大きい。

書くことであり、読むことであり、そこから生まれる、交わりであり、癒しであった。

かけがえのないものを、私は手に入れた。

同じ書くことを志した仲間。

顔も知らない、仲良し作家さん。

彼らもまた、書いていた。

心に響く作品を。

私と同じ。

とても説教臭い作品を。


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