トライアングル



彼、黒崎利樹〈クロサキ トシキ〉は私が所属するフロントの直属の上司。



そして、私は彼と内緒で付き合っている。



別に会社で社内恋愛を禁止している訳じゃあないけど、私達の関係がちょっと人に言えない関係と言うか、なんと言うか……。



とにかく、誰にもバレてはいけない。



だから今の会話も誰かに聞かれると不味い。



「そう言えば、坂口さん遅いね」


「そうですね」



そんな会話をしながら、彼は私の手を探し当てギュッと握り締めてくる。



それだけでも嬉しくて、心臓はばくばくと暴れだす。



「もしかして、照れてる?」


「………」



こんな事、わざと私の耳元で囁く彼はきっと確信犯。



私は彼の台詞に応える事なく俯いて赤くなっているであろう頬を隠した。





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