ぼくらのうた



 ひたすら歩く。

 何も知らない涼は芳斗と楽しそうに喋ってる。

 光と春樹は…黙ったまま。

 何十分歩いたんだろう。

 やっと、見えてきた。


「え、藍架?
 ここって…お墓だよ?」

「うん…」


 お金がなかったから、小さな小さなお墓だけど。

 ここになおにぃが眠ってる。

 来るのが遅くなってごめんね…。


「あたしの…お兄ちゃん。
 死んだの…」


 風が、強く吹いて あたしの髪を踊らせた。

 ねぇ、髪…伸びたでしょ?なおにぃ。

 あれからずっと伸ばしてるんだよ?

 なおにぃが、あたしの髪は柔らかくて好きだって言ってくれたから…。

 でもあんまり伸びてないかな…。

 ヒマワリを挿した。

 ヒマワリの花言葉は…あなただけを見つめています。


「みんな、教えてくれたから…。
 あたしも、言わなきゃって…!」



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