ぼくらのうた





 なんて、笑いながら頭を撫でるお兄ちゃん。

 ―ドキ…

 高鳴る鼓動を無視して、頬を膨らませた。

 気付いてはいけない想いだと、知っていたの。


「もう!子供扱いしないでよー!」

「藍架はまだまだ子供だろ?」

「ひどーい!もう中2だもん!」

「まだ中2〜♪」


 そう言うお兄ちゃんは、高校の制服がサマになっていた。

 ほぼ真っ直ぐに顔を上げないと見れない顔。

 高校に入ってすぐに染めた茶髪は、よく風景に馴染んでいた。

 うーどきどきするなあたし!


「うーさーむーいー」

「まだそんな寒くないだろー?」

「寒いもんー!」


 10月なのにあり得ない!!

 手袋とか持ってくれば良かったー!!

 必死にセーターの裾を伸ばして、手を暖めようとした。


「ほら」


 差し出される大きな手。



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