【完】君に贈る歌
オーディション当日。
俺はいつもと同じように起床し、準備をしてネットカフェを出た。
24日にテレビに出られるかどうかが今日決まる。
近くの某スタジオでオーディションが行われるが、俺よりも先にもう何十人もいた。
受付で受け取った5番目のバッジ。
どのように順番がつけられているのかは分からないが、とにかく自分の順番を待った。
このオーディションは面白いもので、結果を即教えてもらえる。
審査員の人が大物歌手の人で、番組側がいくら「それはやめてください」と言っても聞かなかったらしい。
だから番組の長さがどれほどになるか分からないから一日そのテレビ局は歌番組でつぶれる。
しかし、それが口コミで広がり話題をあげている。
だから視聴率は確実に高いと噂だ。
「5番の方どうぞ」
「はい」
とうとう俺の番号が呼ばれた。
俺は緊張するでもなく、席を立つ。
そして個室に入った。
「失礼します」
目の前には四人座っていた。
左から見ていくと、確かにテレビで見るような大物歌手が勢ぞろいだ。
「では、歌ってください」
自己紹介もなしに、歌を歌えと催促される。
俺は「はい」と言ってから持ってきた音源CDを手渡した。
幸いにもオーディション時にはAメロ、Aメロサビだけでいいらしい。
だからそのように音源も切り取って編集してきた。