【完】君に贈る歌

◇本音



**


「んーここ少しピアノとか入れてみない?」


「ピアノ?さすがにピアノは俺弾けないよ」


「あたし弾けるからさ!!」




曲を作り始めて一週間ほど。


歌詞の方も大分出来てきた。

歌の方も着々と良くなってきている。



練習用に使っていた曲は一文字たりとも音程を外す事は無くなったし、アレンジを加える事もできるほどだ。


違う曲でも練習をしているけど、それもなかなか良い。





「早くこの歌の完成聞きたいなぁ♪あたしすっごい楽しみ!」



高橋にはとても感謝している。


こいつがいなかったら俺はまだ作曲や作詞にも手をつけられていなかったかもしれない。



「一番までは出来てるんだからさ、一回歌ってみない?」


「だけどまだ二番出来てないし・・・。俺完成させてから歌ってみたいんだけど」


「いいのいいの!たまには気晴らしに自分の作った曲と歌詞で歌ってみなって!」


「・・・分かった分かった。じゃあちょっと用意するから」


「あっ、あたしその前にトイレ行ってくるね!」





少し軽やかにカラオケボックスから出ていった高橋。


俺は少し不思議に思いながら持ってきたノートパソコンに音源をセットする。




「高橋が戻ってくるまでに一回一人で歌ってみるか・・・」


再生ボタンを押し、近くにあったマイクを手に取る。


そして思い切り息を吸い込み歌いだした。
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