Rain【完結】
扉が閉まる刹那聞こえた声に、酷く同情した。
こんなふうにしか生きていけない彼に。
こんなふうにしか生きられない彼に。
何度も出会いと別れを繰り返しながら自分を傷つけていく彼に。
毎日本気で愛して、そしてその愛する人を傷つけていく。
嫌なのに、それから逃れられない彼が。
可哀想で、自分の無力さを感じた。
あたしの前の女の人もそうだったのかな。
前の前の人も。その前の人も。
こうやって自分の無力さを感じながら雨の中帰っていったのかな。