禁域―秘密の愛―【完】
ーーーー夢を見た。
『ーーー瞳』
…………巧と、そっと寄り添っている。
私達が初めて心を通わせたーーー、高校の休憩所で緑がおおい茂る中、巧と私の二人きり。
他には誰もいない。………何も私達を遮り、非難するものもない。
幸せ…………。
『巧………私、幸せ』
やっと、あなたと二人になれた。
やっと………、あなたと一緒にいられる。
『………瞳、俺もだ』
『巧………』
巧はニッコリと微笑む。そして、私をその腕に抱き寄せますます深く抱きしめる。
『………だけど』
『………え?』
『俺は………行かなきゃならない』
『行く、って………?』
ーーーー………一体どこに行くっていうの?
巧は戸惑う私をそっと離す。
『………え?』
そして、段々とまるで何かに引きずられていくかのように、その私達の距離は遠ざかっていく。
『た、くみ………?巧ッ………!!』
嫌………嫌!
お願い、私を巧の元へと帰らせて………!!
『いやぁ…………ッ!!!』
遠ざかる巧の姿。休息所の景色はすっかりと消え、いつの間にか辺り一帯が闇に覆われる。
でも………その中でも、巧の姿はしっかりとあった。遠いけれど、しっかりと、その凛々しい姿はあった。