ディスオーダー【短編集】

 ……ああ、それにしても暑いなぁ。熱中症にでもなっちゃうんじゃないかな。


「おい、マサキ。さっきから突っ立って、空を見上げて何をやってるんだよ?」

「何って、君が言った通りただ空を見上げているんだよ」


 僕に声をかけたのは、頭の先から足の先まで真っ黒な子供だった。肌の色が黒いんじゃないっぽい。影がそのまま具現化したみたいな子供だ。

 誰だっけ。こいつ。でも僕の名前は知ってるんだ。じゃあ、知り合い?

 少し考えてみたけど誰なのかが分からない。思い出せない。……まぁ、いいか。誰だって。

 僕の邪魔をしないでくれるなら誰だっていいや。誰だって。
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