ディスオーダー【短編集】
 マジかよ。

 みんなが「死神くん、死神くん」って呼ぶから、うっかりとコイツの苗字を忘れていたけど……。

 嘘だろ?笹木野、お前、死んだの?轢き逃げで?マジで?だって、お前……。


 ――お前が死んだら、一体誰が人を次々と死に追いやった死神なんだよ?


「!」


 クラスメートのみんなが、俺を見ていた。虚ろな、光の宿っていない、黒い瞳で、じぃーっと。

 なんだよ?その目は。生前の死神くんに向けていた目と、全く同じ目なんだけど?まるで、俺が死神だと言わんばかりの……。

 おい。やめろよ。そんな目で見るなよ。死神くんがいなくなったから、次は人が次々と死んでいく理由を俺になすりつけようって?次の死神くんは俺だって、そう言いたいのか?

 目の前がぼやぁ~と歪んで真っ暗になった刹那、クラスメートの誰ががぽつり、小さな声で呟いた。


 ――「まあ、なんにしろ、私には関係のないことね」


END.
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