眠り姫はひだまりで【番外編】


やはり毎度のように、柚木が言う。


「『色葉ちゃん』と」


…その髪の色も、ふわふわした毛先も。

小柄な背中も、背丈も。

顔まで似ているものだから、一時期二年の男子のなかで、話題になったものだ。

あの『色葉』にそっくりな新入生がいる、と。


「見れば見るほど似てるわ。色葉ちゃんは知ってんのかね?」

「…知らないよ、多分」

知ってても、きっと色葉は『へぇ〜そうなんだぁ』くらいだろうな。

けど、間違っても色葉にだけは知られちゃいけない。


僕の目が、彼女を追うようになっていることは。






二年になって、僕はまた色葉と同じクラスになった。

色葉と、僕は文系。

澪と純は理系だから、隣のクラスにいる。

親友と彼氏、どちらともクラスが違う色葉は、もっと落ち込むかと思っていたけど。

最近は、同じクラスでもともと仲の良かった長野さん、吉澤さんとよく一緒にいるところを見かける。


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