《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
間もなく夜になる。
とりあえずこの少女。スゥを先に王宮で保護し、親の捜索には王宮の警備隊を手配するのが望ましい。そう判断し、ラインアーサは少女に手を差し伸ばした。
「よし。おいで、スゥ! 俺が一緒にパパを探してあげるよ」
「ほんとう? ありがとう、ライアおにいちゃん!」
そう言いラインアーサの手を取るとスゥは笑顔を見せた。
────それはこちらまで嬉しくなる。大輪の花がほころぶ様な……そんな愛らしい笑顔だった。
ラインアーサの胸がドキリと跳ねた。また頬が熱くなるのを誤魔化すようにスゥの手を引きながら空を見上げた。
「すぐに暗くなるから急ごう!」
ラインアーサが王宮の方へ足を踏み出すと、先程まで穏やかだった風が急にざわつき森の樹々が揺れた。
「───スズ!? やっと見つけた!!」
突如、森の中からラインアーサより少し幼いが気の強そうな少年が現れ、こちらまで駆けてくる。途端にスゥの表情が硬くなった。
「……セィシェル…っ…やだ、いかない!」
「なに言ってるんだよ、こんな危ない所に来て! 親父だって心配してるんだ。早く帰るぞ」
少年は目の前まで来るとスゥの手を強引に引き早足で歩き出した。
とりあえずこの少女。スゥを先に王宮で保護し、親の捜索には王宮の警備隊を手配するのが望ましい。そう判断し、ラインアーサは少女に手を差し伸ばした。
「よし。おいで、スゥ! 俺が一緒にパパを探してあげるよ」
「ほんとう? ありがとう、ライアおにいちゃん!」
そう言いラインアーサの手を取るとスゥは笑顔を見せた。
────それはこちらまで嬉しくなる。大輪の花がほころぶ様な……そんな愛らしい笑顔だった。
ラインアーサの胸がドキリと跳ねた。また頬が熱くなるのを誤魔化すようにスゥの手を引きながら空を見上げた。
「すぐに暗くなるから急ごう!」
ラインアーサが王宮の方へ足を踏み出すと、先程まで穏やかだった風が急にざわつき森の樹々が揺れた。
「───スズ!? やっと見つけた!!」
突如、森の中からラインアーサより少し幼いが気の強そうな少年が現れ、こちらまで駆けてくる。途端にスゥの表情が硬くなった。
「……セィシェル…っ…やだ、いかない!」
「なに言ってるんだよ、こんな危ない所に来て! 親父だって心配してるんだ。早く帰るぞ」
少年は目の前まで来るとスゥの手を強引に引き早足で歩き出した。