《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
ラインアーサは自分自身に軽く嫉妬をした。如何様にもし難い想いが、ちくちくと胸中で渦巻く。
「っ…」
「警備さん?」
屈託なく接してくれるスズランとの会話が嬉しくてつい話し込んでしまったが、スズランが寒そうに身を縮め小さくくしゃみをした。そういえばスズランは寝間着に薄いローブを羽織っているだけの姿だ。
「そろそろ戻った方がいい。風邪なんて引かせたら君の家族に申し訳ない。特に、セィシェルと言う者はだいぶ君に過保護らしいからな」
「……う、ん」
スズランが少し浮かない顔をした。
「どうした? 何かあったのか?」
「……なんでもないの。今日はなかなか眠れなくてここに来たんだけど、警備さんに会えてよかった。わたしの他愛もない話、たくさん聞いてくれてありがとう。今度はちゃんと眠れそう」
ラインアーサも眠れなくて誘われる様にこの場所へ来ていた。此処を訪れた時間が同じだった事にまた少し嬉しくなった。
「それは良かった。帰ったら身体をよく暖めるといい」
「うん、ありがとう……ねえ、警備さん。最後にひとつだけ、きいてもいい?」
スズランが少し緊張気味に真面目な声色で尋ねてくる。
「何だ?」
「っ…」
「警備さん?」
屈託なく接してくれるスズランとの会話が嬉しくてつい話し込んでしまったが、スズランが寒そうに身を縮め小さくくしゃみをした。そういえばスズランは寝間着に薄いローブを羽織っているだけの姿だ。
「そろそろ戻った方がいい。風邪なんて引かせたら君の家族に申し訳ない。特に、セィシェルと言う者はだいぶ君に過保護らしいからな」
「……う、ん」
スズランが少し浮かない顔をした。
「どうした? 何かあったのか?」
「……なんでもないの。今日はなかなか眠れなくてここに来たんだけど、警備さんに会えてよかった。わたしの他愛もない話、たくさん聞いてくれてありがとう。今度はちゃんと眠れそう」
ラインアーサも眠れなくて誘われる様にこの場所へ来ていた。此処を訪れた時間が同じだった事にまた少し嬉しくなった。
「それは良かった。帰ったら身体をよく暖めるといい」
「うん、ありがとう……ねえ、警備さん。最後にひとつだけ、きいてもいい?」
スズランが少し緊張気味に真面目な声色で尋ねてくる。
「何だ?」