好き嫌い。
「おい。ミサト。」



ある日、ボンヤリと中庭に座って紙パックのコーヒーを飲んでいた。


あったかい、ポカポカした天気で眠気が来そうな昼休み。


いきなり真後ろで声がして、上を見上げた。


「また無視かよ。」


…こうちゃん…。


「ミノリ。」

「は?」

「名前。ミサトじゃないよ、ミノリ。」



それだけ言うと立ち上がり、お尻をはたく。


紙パックをゴミ箱に捨てて立ち去ろうとした時。


「ミノリ、待て。」


…名前読んでくれた。

もうそれだけでいい。それだけで幸せ。

好きになってよかった、ってこの恋から卒業できる。

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