好き嫌い。

その3

目の前の光景がスローに流れていく。


…誰?


…なんなの、これ。


「実里⁉︎大丈夫⁈」


アキに掴まれた肩が痛い。
サーっと血の気が引く。

フラフラして、頭が揺れて、立ってるので精一杯。


「こ…うた…」


掠れた声が出た。

その、小さな掠れた声が…届いた。


「み…ミノリ⁉︎」

見開いた目は、【何でここにいるんだ!】って感じ


駆け寄ってきた康太をみて、反射的に身体が動いた。


ここにいちゃいけない。

離れなくちゃ。


知らない女の人と手を繋いで仲良さそうに歩いてたのは、きっと康太じゃない。


他人の空似だ。


「待て、ミノリ!」

振り向くことすらしなかった。
現実を…納得できなかった。


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