ひつじちゃんの夢羊くん
ユメミのひつじ
私は、高2の日辻 夢未(ひつじゆめみ)。



予備校で隣のクラス、同じ高2の白井 羊詞(しろい ようし)くんに片想い中です。



最初は親に強制的に申し込まれて、嫌々通い始めた予備校も、今ではすっかり楽しみになってるの。




彼はかっこいいか?って聞かれると、普通より良いかなって感じ。




メガネはかけてないけど、授業中にはかけてるのかな?



廊下でぶつかった時に、彼のと思われるメガネケースを拾ったから。




そうそう出逢いはちょっと昔の少女マンガみたいだけど、本当にぶつかったのが彼を知るきっかけになったの。




「あの時は、びっくりしたよー・・・ギロッと睨まれたかと思ったら、そうじゃなくて『すみません。大丈夫ですか?』『はいっ、大丈夫です』って聞いた後、『よかったぁ』って羊詞くんがふわぁって笑ったの。その笑顔が素敵でどきどきして、これって恋かもって思ったのが始まりかなぁ?」




私は自分の部屋のベッドの上に仰向けになって、誕生以来の友人、しろひつじくんを抱きしめながら同じ羊と名前に付く彼の話を聞かせていた。



「しろひつじくん、もう白じゃないねぇ。洗おうか」


日曜日、予備校は午前中で終わった夕方、今日も白井くんをチラ見出来てハッピーだった私は、夕飯前にお風呂に入る事にした。



「昔はもっと白くてフワフワしてたよねー」




黒いタキシードの上着を脱がせて、赤い蝶ネクタイは取れないからそのままね。



しろひつじくんをシャワーのお湯で濡らしてから私の使っているシャンプーを泡立ててゴシゴシ洗う。



ボディブラシは引っかかるから途中でやめて、リンスの後にシャンプーブラシで毛並みを整えた。



ちょっとカワイそうだけど両手でぎゅううーっと絞って、タオルかけに干して、今度は私の番。



シャンプー&リンスしてから体を洗って、洗顔後バスタブへイン。



お風呂から上がったらドライヤーで髪を乾かすついでにひつじくんにも温風ー、あ、コゲルといけないからちょっと離し気味にね。



しろひつじくんの服はてきとーに洗って絞って洗面所に提げられた洗濯ばさみに干した。




ひつじくん本体は、中の綿が濡れていると思ったので、タオルにぐるぐる包んで二階の自分の部屋のベッドの上にポイッと投げた。



暗くなった部屋のドアを閉め「ごはん、ごはん」と私はいいにおいのする一階のダイニングへウキウキと向かった。




今夜どんな夢を見る事になるかも、この時は知らずに・・・。





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