伝わらない、伝えられない


「それは!…後でいいから、先に話を聞いてくれ」



キッチンに向かおうとするあたしを肩を掴んで引き止める悠斗。


いつになく真剣なその表情に、ドキドキが止まらない。



「うん」



あたしはただ頷くことしか出来なくて、悠斗の話を聞こうとテーブルの前に二人で向かい合うように座った。



どんな話をするんだろう。


ずっと思い描いているのは、悠斗と葵の告白。


状況についていけない上に哀しみも相まって…



ヤバッ、涙が出てきそうだ。さっきもあんなに泣いたのに。


そんな顔を見られたくなくて視線を落として俯いた。



「さっき、見たよな?…葵に告白してた所」



びくり―――


悠斗の声に無意識に体が反応する。


あの告白が本当のことだと思い知らされる、それと同時にそれを聞いてどうするつもりなんだろうと不思議に思った。



「うん」



誤魔化すことなくそう答える。



「そう、だよな…」



瞬間、悠斗の口からため息が漏れた。


それは何のため息?見つかったのがそんなに問題だったの?


悠斗の行動や言動にますます訳が分からなくなった。


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