伝わらない、伝えられない
新たな変化side悠斗


新しい学年になって一ヶ月が過ぎようとしていた。


そろそろクラスにも溶け込んできて、段々と学校全体の雰囲気が落ち着いてきたような…


そんな時期へと変わりつつある今。


二年になり俺と葵、ちとせと明は別々のクラスへ。


そのせいで大体四人で集まるのは昼休憩の時ぐらいになってしまった。


たまに廊下でちとせを見かける事はあるが、あいつはいつも円の中心。


囲まれていてとても話しかけられる状態じゃない。


中でも明といる姿をよく見掛けるようになった気がする。


移動教室なのか、楽しそうに話しながら階段を降りていくちとせと明。


ずっと俺達は四人一緒に居たから…


だから二人が隣にいるのは、その延長線上に過ぎない。


そう思って納得しようとしても、何でかしっくり来ることはない。


それどころか二人が見えなくなっても焦燥感は大きくなって。


そんな俺の中のざわめきは、思った以上に早く間違いではなかったと知るはめになるのだった。


そして俺自身の心境も、それをきっかけに変化していく事に…


< 80 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop