伝わらない、伝えられない
明からのsideちとせ


とある昼休憩、明とあたしは屋上で悠斗達が来るのを待っていた。


雲の合間から差し込む太陽の光が暖かく、あたしに眠気が襲いかかってくる。


葵と悠斗は移動教室だったっけ…


じゃあちょっと時間かかるかな?



そんな事をぼんやりと考えていると…



「なぁちとせ。笹原先輩とは本当に付き合ってないわけ?」



さっきまで他愛のない話をしていた明から、突然そう問われる。


なんで先輩と付き合ってるって思う人が多いんだろう?


端から見ても釣り合わないのは明確なはずなのに。


それに先輩には弥生さんがいるんだから…


まぁ知られたら困るから言えないけど。



「ないない、地球がひっくり返ってもあり得ないね」


「良かった、じゃあ…俺と付き合ってくれない?」



手を振りながら冗談っぽく否定すると、あたしに返ってきた言葉。


えっ…今、なんて…?


理解できず唖然とする。


それは今までの眠気が吹っ飛ぶほどの驚きだった。


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