その苦くて甘くてしょっぱいけど…
僕にとって恋愛はただ苦く、上手くいかないものだった。

気持ちが交わることもなく、それがかなってもそこから先に進むことが…

難しかった。

そして、初めて本気で好きになった人は、年上の人で、すでに彼女には子どもがいた。

それでも彼女が欲しかった。

どんなに彼女との距離を詰めようとしても、娘さんとの仲を深めても…

その手が届いたのか、わからなかった。甘いはずなのに、自分だけには苦い。


明らかに僕の気持ちは分かっているはずなのに…

それでも彼女はどこかよそよそしかった。

それは僕のせいなのか彼女の問題なのか…

それが分かるほど僕は大人になっていなかった…


そして、やっと一歩踏み込めた。

その甘さを初めて知り、溺れていた時、

彼女の不実を知った…

目の前が真っ暗になり、どうしたらいいのか混乱したが、

何より、彼女のその事実の受け止め方がもっと辛かった。


僕を拒絶しながら、それでも寂しそうな彼女を見て…

僕はその壁をぶち破った。

これを飲めば彼女が手に入るなら…

どんな毒も飲んでやる!!


父だってただ幸せな結婚生活を送っていたわけじゃない。

誰しも、毒も含みながら生きている。

僕にとって苦くても毒があっても…

それでも彼女は甘い。
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