その苦くて甘くてしょっぱいけど…
翌日、目が覚めても心は晴れずに気まずい気持ちだったが、

それでも僕が起きていくと、昔一緒に住んでいた時と同じように

朝食が用意されていて、母も父も普通だった。


それから…僕が改めてひなさんの話をしようと試みたが全く無視され、

レストランの話がなかったかのようだった。

話にすらならないまま辛い気持ちを抱えて、実家で年末年始を過ごした。

気晴らしに学生時代の友達と連絡を取って遊びにも出た。

連絡を取ったうちの何人かは…

昔話に花が咲いたが、結婚して子どもが生まれたからと

遊ぶことにはならなかった。

そう、僕もそういう年頃。それなのに…

目の前の現実は甘くない。

両親は嫌いじゃないが、早くひなさんに会いたかった。


年が明けても…

結局解決の糸口をつかめないまま、あれから最後まで全く話にならなかった。

ひなさんとどうしたらいいのか?

なんで、こんなに拒絶されるのか?

僕は痛い気持ちを抱えながら実家を後にして、彼女の家に戻った。


そして、仕事の忙しさを言い訳に彼女の家に泊まらなくなった。

いや、泊まれなくなった。

今のような状況のまま、ただそういう関係だけを続けることが…

僕にはできなかった。かといって、全ての関わりを断てるほど強くない自分。
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