危険なキス
あたしたちは、駅まで一緒に帰ると、そのまま別方向の電車に乗り込んだ。
二人きりで乗った二人を見ると、どことなくぎこちなくて、ちょっとだけ笑えた。
そしてあたしは、憂欝な原因となる者が待つ家へと帰った。
「ただいま」
「おかえりなさい」
家に帰ると、まだ時間よりちょっと早くて、例の家庭教師はまだ来ていない。
あたしはすぐに制服から私服に着替えると、適当なパーカーにジーンズを取り出した。
あんなやつに、オシャレとかする必要ない。
先に参考書を開いて、ぱらぱらとめくって予習をしておく。
そしてしばらくすると、家のチャイムが鳴った。
「いらっしゃい」
「お邪魔します」
玄関から、お母さんの声が聞こえ、あたしも一応下へ降りた。
「こんにちは」
そこには、笑顔であたしに挨拶をする一人の男がいた。