危険なキス
「もー…楠木には関係ないでしょ。
そんな話するんだったら、あたしは帰るよ」
「待てって」
勝手に教室を出ようとするあたしを、楠木が肩を引っ張った。
その途端、傾く体。
揺らぐ髪。
楠木はあたしを見て、再び目を大きく見開いた。
「お前……そこも……?」
「!!」
慌てて、あたしは指摘された場所を手で押さえた。
だけど、楠木はばっちりと見てしまったようで、もう言い訳がきかない。
「なんだよそれっ!今朝はなかったよな?」
「だ、だから別にどうだっていいでしょ!!
あたしが誰とどうしようと、あんたには関係ないんだからっ」
「あるんだよっ!!」
かぶせ気味に、大声を張る楠木。
そして切なそうな瞳で、あたしを見つめた。
「俺はお前のことが好きなんだよ」
それは、あたしが夢にまで描いていた言葉だった。