危険なキス
授業は気が付けば終わっていた。
今日一日の授業内容はほとんど頭に入ってない。
楠木にどうやって話そうかとばかり考えていた。
でも結局うまい答えは見つからず、正直に話そうと決めた。
帰りのホームルームが終わり、次々と帰っていく生徒たち。
あたしは机の上に参考書を開いて、ひたすら教室に誰もいなくなるのを待っていた。
そして30分が経つと、しんと静まり返る教室。
あたしと楠木だけが、自分の席についていた。
「……で?話って何?」
なかなか切り出せずにいると、しびれを切らした楠木が口を開いた。
あたしは参考書を閉じると、深く息を吸う。
そして楠木の顔を見ると……
「別れて……ください」
ただ一言、そう言った。