危険なキス

　
心臓が、口から飛び出るかと思った。

だけどあたしは、なんとか冷静さを保って、目線だけ麻衣子に向ける。


「何言ってんの……。そんなわけないでしょ」

「あ、そっか！そうだよね。うん……」


必要以上に頷く麻衣子に、あたしは少し不思議に思った。

だけど確かに聞こえた。
次に小さくつぶやいた麻衣子の声を。


「……ガンバロ」


嫌な予感がした。

一番当たってほしくない予感……。



麻衣子が相手じゃ……

あたしは敵いっこないよ……。