危険なキス
「あ、あのね……」
あたしがパンを1つ食べ終えたところで、麻衣子が少し緊張気味で話し出す。
見ると、麻衣子のお弁当はほとんど減っていない。
「何?」
「紫乃には話しておこうと思って……」
めずらしく、改まっている。
あたしはカフェオレに手をつけると、目線だけ麻衣子へ向けた。
「く、楠木くんのこと…なんだけどねっ……」
「……」
ドクン…と心臓が跳ねた。
予感する。
麻衣子がこの先言うことを……。
「あたし………す、好きになっちゃったみたいなのっ」
ああ…
どうして不覚にも、親友が同じ人を好きになってしまうんだろう……。