太陽と月



そんな言葉が降ってきて、ゆっくりと顔を上げる

すると、私の真っ赤になった腕を見ながら、小さく溜息を吐いて微笑む主任がいた



ドクドクと心臓が鳴る

私の腕をスッポリと包む大きな手

いつもはキッチリ着ているスーツのシャツも、今は着崩して着ている

腕まくりされたシャツから覗く腕が、逞しい



思わずその姿に見惚れていると、ゆっくと伏せられていた睫毛が上がる

大きな猫目が太陽を浴びて、栗色に光りだす

そして、その大きな目を優しく細めて




「あんまり、俺の側から離れるなよ」




そう言った


< 111 / 353 >

この作品をシェア

pagetop