太陽と月


その箱を嬉しそうに抱き留めた私を見て、もう一度深く微笑んだ莉奈さん

そして、ガランとしている事務所を見渡した




「あれ? みんなは?」

「みなさん、今はランチに出ています。飯島部長は打合せ室で打合せを・・・」

「そっか~。あれ? 大西は? 今日は休み?」



少し残念そうに溜息を吐いた莉奈さんが、主任のデスクを見て、そう言う

その言葉にドキンと一度心臓が跳ねた




「あ、休みみたいです...出張で」

「――そっか」



名前を聞いただけで、会いたい気持ちが溢れる

どうしようもなく

会いたくなる



そう感じて、上がっていた口角と視線が無意識にゆっくりと下に下りてきた時




「あれ~? 莉奈じゃない」




いきなり打合せ室の扉が勢いよく開いて、沢山の資料を抱えた飯島部長が事務所に入ってきた




「葵さん! お久しぶりです!」

「久しぶり~! しばらく顔見せないから寂しかったじゃない~。元気にしてた?」



バサバサと資料をデスクに置いて、莉奈さんに駆け寄ってきた部長

莉奈さんも答える様に駆け寄って行った



「久しぶりにみんなに会いたいなって思ったけど、ちょっとタイミングが悪かったみたいです」

「そうなのよ~、大西も今出張でね」

「はい、花音から聞きました」



そう言って、隣に立つ私をチラリと見て微笑む莉奈さん

その可愛らしい笑顔にキュンとする


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