太陽と月


――カツン



ゆっくりと開けた扉の先には、明かりの点いていないチャペルがあった

それでも、夏の日差しを窓から取り込んで、眩しいくらいに輝いている



そして、その空間の中にいたのは




「・・・大西主任」



綺麗に並べられた椅子の一番前の席に座る影

窓から差し込む光がちょうど当たらない場所に座っている

そして私の声を聞いて、ゆっくりと振り返った




「――瀬川」



その声は

いつもと同じくらい明るいのに



どこか空虚に満ちていた


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