太陽と月




ゆっくりと閉じていた目を開けて、再び真っ暗な世界を見つめる



それでも、そこには変わらず何もなくて

誰もいなくて



彼女と同じ香水の香りも

もう、そこにはなかった



幸せな夢を見ていた分

目覚めた後は、地の底まで落ちていく



受け入れなければいけない現実が

躊躇なく襲ってくる



もう俺の側に彼女はいなくて

もう手の届かない所にいってしまった



変わらない現実が、俺の心に闇を宿す





「――くそっ」




計り知れない空虚と喪失感

悔し涙が頬を伝って、真っ白なシーツの上にポタリと落ちた




「最低だな...俺は」




隣に眠る女性の髪を一度すくい上げて、ストンとベットの上に再び落とす



「ごめん」



呟いた声は

弱弱しく擦れて、闇の中に消えて行った

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