太陽と月


ハラハラと散っていく花びらが

地面をピンク色に染める



その光景を目にして、あの日の言葉を思い出す



――〝一気に咲いて、一気に散っていく″――




「潔いいな。お前は」




思わず目の前の桜に、ポツリと呟いた




一気に花開いたこの花を、未だに手放せないでいる俺とは正反対だ

潔よく散れたら、どんなにいいか



それでも




「俺には無理だよ」




今にも消えてしまいそうな、擦れた声は誰に届くんだろうか

届かないと分かっているのに、届いて欲しいと願う愚かな自分がいる




「誰か、俺の感情を消してくれよ」




歯を食いしばって空を見上げる

叶いもしない願いを

この時俺は、心から願った




もう、限界だった―――



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