最大の出来事
 潤一はヒーターをつけて、廊下に誰もいないか確認してから、教室に戻った。

「ごめん。こんなところまで引っ張って・・・・・・」
「ううん・・・・・・」

 気にする必要がないことを言いながら、首を横に振った。

「何か相談?」
「どうして・・・・・・」
「だって、わざわざ二人きりになる場所を見つけようとしていたから」

 誰だって聞かれたくないことを話すことはある。
 だけど、潤一が育実と二人きりになったのはそのためじゃない。

「違うんだ!」
「そうなの?」

 潤一は頷いて、息を大きく吸い込んだ。

「信多さん、好き!」
「・・・・・・え?」

 告白されたことを理解するのに、時間がかかった。
 声が出なくて困っていると、彼はもう一度、育実に好きであることを伝えた。

「あの、返事は・・・・・・」
「お断りします。ごめんなさい!」

 返事は急がなくて良いことを言おうとすると、育実が断りの返事でそれを遮った。
 断られて、潤一はショックを受けて、全身を震わせている。

「ど、どうしても・・・・・・駄目?」
「うん、駄目なの・・・・・・」
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