最大の出来事
メール
「あれ?」
「どうかした?育ちゃん」
「ううん、気にしないで」
 
 璃穏にそう言ったものの、育実は数日前から一桜に何度もメールを送っているのに、いくら待っても返事が来ない。
 特に重要な用事はないが、いつもだったら一桜はその日に必ずメールを送ってくれる。

「忙しいのかな?」

 翌朝、登校したときに一桜が靴を履き替えているところを見たので、走りながら名前を呼ぶ。

「一桜ちゃん!」
「育実?」

 走ったときに小石に躓いて転んでしまった。それを見た一桜は慌てて育実に駆け寄った。

「ちょっと、大丈夫!?」
「う、うん。大したことないから」

 血が出ていないので、汚れを手で払ってから、歩き出して、自分も靴を履き替える。
 保健室へ行かなくていいのか質問され、育実はそれをやんわりと断った。

「それより一桜ちゃん・・・・・・」
「ん?」
「メール、読んだ?」

 数日前からメールを送ったことを言うと、一桜は携帯電話の調子が悪く、読むことができないことを伝えた。

「そうだったの・・・・・・」
「うん。何か大事な用事?」
「ううん、そうじゃないの」

 教室へ行くと、潤一と悠が教室の窓際の席で外を眺めていた。

「おはよう。二人とも早いね」
「おはよう、いくみん。悠に宿題でわからないとこがあったから、教えてもらっていたんだ」
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