最大の出来事
 散々言い合いをしてから、育磨が飲み物を奢ることになった。

「そこの自動販売機は?」
「うーん・・・・・・」

 病院から徒歩二分くらい歩いたところに自動販売機がある。

「駄目だ」
「どうして?」
「その奥にある店がいい」

 璃穏は自動販売機を通り過ぎたところにある喫茶店を指差した。
 育磨は肩を竦めながら、そこへ向かうことへした。

「育ちゃん、一番高い飲み物を育磨に買ってもらおうか?」
「そ、そんな、申し訳ないよ!」
「平気だよ」

 育磨を置いてけぼりにしたまま、育実と璃穏は話し続けている。

「あのさ・・・・・・」
「育磨、黙れ」
「ひどい・・・・・・」

 育磨は璃穏の態度に落ち込んでいる。

「行こうか。育ちゃん」
「ああ!」

 育実の代わりに育磨が元気に返事をした。

「お前じゃない!」

 育磨に飲み物を奢ってもらった後、育磨は用事があるので、駅で別れた。

「明るいお兄さんだね」
「あいつはいつもあんな調子だよ」
「もっと話したかった」

 人見知りをする育実がこんなことを言うのは珍しいので、自分自身、とても驚いた。
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