君がいないと落ち着かない

その声には苛立ち等といった憤りに似た感情を含んでいる様子はなかった。
「誰と?」
「1人がいいな」
「えー!1人じゃ楽しくないじゃん」
河崎が口を挟む。その言葉に忍の楽しみを踏みにじられるような痛みと怒りを感じた。
「自分が楽しいんだからいいんだよ、それで。」
「あー、シノちゃんってさ本屋入ると黙るよね」
プツンと糸が切れた。
「うるせんだよ、河崎。少し黙ってろ」
1人で行くことに満足してんだからそれでいいだろ。いちいち口挟んでくんじゃねーよ、おしゃべり。
とまで言いたかったが、そうなると後で色々と面倒になってゴタゴタのグチグチの泥沼化にならないように口をつぐんだ。
忍が怒りを向けることが3人の前では無かったため、ただの冗談混じりの言葉だと解釈されたらしく林とれー子が顔を見合わせて笑っていた。忍もそれに肖って悪ふざけをしてる時と同じように歯を見せて笑うと、川崎も口元を緩ませた。


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